「stuck」は本当に受動態?ネイティブが日常で使う“stuck”の正体を徹底解説

「I'm stuck.」「He got stuck in traffic.」
こうした表現を見たことはありませんか?

"stuck" は過去分詞の形をしているため、「受動態なのかな?」と疑問を持つ人も多いはず。
実はこの "stuck"、英語では非常に面白い使われ方をしているのです。

本記事では「stuck」の本質に迫り、他動詞 "stick" との関係や、意味の広がりも整理していきます。


✅ stuck は「受動態」ではない?

結論から言うと、"stuck" は見た目は受動態のようでも、「状態」を表している定型表現です。

  • I’m stuck.
     → 「動けない状態にある」= 状態の描写

  • He got stuck in traffic.
     → 「渋滞にはまった(そして今もそうなっている)」

これは文法的に「受け身」ではありますが、
実際には「誰かに〜された」という意味ではなく、**「そうなってしまった状態」**を表しています。


✅ stick との関係はあるの?

"stuck" は動詞 stick の過去分詞形です。

  • stick(動詞)には「くっつける・突き刺す・貼りつける」などの意味があり、他動詞・自動詞の両方で使えます。

他動詞の例(=くっつける動作):

  • She stuck a note on the wall.
     壁にメモを貼りつけた。

自動詞の例(=自らくっつく):

  • The gum stuck to my shoe.
     ガムが靴にくっついた。

しかし、"stick" の意味には「交通にハマらせる」「誰かを動けなくする」という意味は存在しません
そのため、次のような能動文は文法的に不自然です:

  • Traffic sticks me.
  • She stuck me in traffic.

✅ 「受動態」に見えるが実は「状態表現」

英語には「be + 過去分詞」で、動作の受け手ではなく状態を表す表現がたくさんあります。

表現意味説明
The door is closed.ドアが閉まっている「閉められた」→「閉じている状態」
The glass is broken.グラスが壊れている「壊された」→「壊れている状態」
I am stuck.動けない「はまって抜け出せない状態」

このような構文は「状態受動文(stative passive)」と呼ばれます。
文法的には受動態に見えても、意味は単なる「状態描写」なのです。


✅ stuck を含む自然な表現いろいろ

表現意味
I'm stuck.動けない・手詰まりだ
I'm stuck in traffic.渋滞にはまっている
My foot is stuck in the mud.足が泥にはまっている
She got stuck in the elevator.彼女はエレベーターに閉じ込められた
I'm stuck with this task.このタスクから抜け出せない(嫌々続けている)
I'm stuck on this math problem.この数学の問題で手が止まっている

✅ よくある誤用・混乱ポイント

誤用修正理由
Traffic stuck me.I got stuck in traffic."stick" にはその意味がない
I stick on traffic.I am stuck in traffic."stick" は自動詞でこの使い方は不自然
I was stuck by traffic.I was stuck in traffic.by は原因として不自然(in が自然)

✅ 文法的なまとめ

項目内容
語形stick – stuck – stuck(不規則動詞)
文法的分類be stuck は構文的には受動態、意味的には「状態表現」
他動詞としての stick「何かを〜にくっつける・刺す」場合のみ自然
自動詞としての stick「くっつく」「貼りつく」などの意味で使われる

✅ 最後に:stuck は「英語らしさ」の詰まった表現

"stuck" は「状態受動文」「イディオム的な使い方」「動詞の意味のズレ」など、
英語の面白さが凝縮された単語です。

単なる受動態ではないからこそ、「I’m stuck.」という一言に、
「抜け出せない」「困っている」「動けない」といったリアルなニュアンスがこもっています。

ぜひあなたの語感に取り入れてみてください。